俺様はバスが嫌いだ。
狭いしきゅうくつだし、その上揺れるし、頻繁に停まって扉を開け、風も冷たい。
いい事がないのである。
若い女がまどろんでいるが、ぜひその柔らかな膝の上を堪能したい。
うーん、気持ちいいんだろうな。
だけど、今、そんな事はできないし、驚いてしまうから無理かな。
ふとももはいい。
特に若い女のふとももは最高だ。
適度に柔らかくて少し弾力がかえってくる感じがたまらない。
顔をこすりつけて、なめてしまいたい。
大好物である。
しかし、狭いところが嫌いな訳ではないが、こうも身動きがとりづらい環境は好きではない。
やはり家が一番であり、お気に入りの場所で、ごろごろしているのが気楽でいい。
邪魔立てするものがいない、優雅な午後の一時を味わいたい。
なんか色々するのが面倒臭いし、ヒッキー万歳である。
その上で若い女の膝があれば、なお、いう事はないのだが。
夜になると出かけたくなる時もあるが、今日はそれより早く家に帰りたい。
出先から帰ってくるのが遅くなって、少し疲れた。
病院にいって無理やり注射されたのだが、これが痛いのなんのってない。
医者というやつは嫌いである。
大きく欠伸がでた。
けれど、落ち着かないので眠れない。
嫌な感じだ。
それに少し腹が減ってきた。
ゴハンも食べたい。
欲求不満である。
ガタッ、と音がなったと思ったら、持ち上げられた。
ゲージに入っていた俺様は耳をピクリと動かし、ひげをピンとはる。
もう少しでバスを降りる合図だ。
もう少しで家の中で人の膝に丸まって、眠れると思い、俺様は一声、みゃーと鳴いた。